本書は05.10〜06.03の間,(社)中小企業診断協会神奈川支部のメルマガに,IMGメンバが分担して6回にわたり連載したもののコピーです.IMGの新しい取り組みに焦点を当てています.

第一回
ISO9001を経営に役立てる「新たな手法」:IMGからの提案

二つの着目

−現在の経営システムとの統合および業務改革実戦ツールを提供−

ISO経営コンサルグループ(IMG 
              
中小企業診断士 馬場 賢
                   CYB05451@nifty.com

 私たちISO経営コンサルグループ(IMG)は,長年ISO19001認証取得支援に携わってきましたが,製造業の現場でISOが「お荷物」になっている,これには認証取得支援する我々にも責任があると痛感し「真に経営に役立つISO」を追求して参りました.
 今回のこの場を借りまして,私たちIMGグループが開発したISO9001を経営に役立てる「新たな手法」を6回にわたりご提案いたします.

 第一回の今回は,その全体の枠組みと特徴を「二つの着目点」からご提示します.

1.現在の経営システムと統合:何もせずとも80%はISOに適合

 ISO9001は「文書偏重」で日々の業務活動から「乖離・2重帳簿化」しているのが多くの実態です.9001だけならまだしも今後「環境,安全衛生,情報セキュリティ等」と取得するISOが増えると,このような「非効率の積上げ」は避けねばなりません.

 視点を換えると,現在市場に存在しかつ一定の顧客支持を受けている企業は,ISO9001の要求事項に「現状のままでも80%前後」は適合しているのが実情です.ISO9001が要求する経営レベルと部門業務レベルの「二つのPDCA」を各種文書で回しており,そうでなければとっくに「市場退出」しているはずです.

 それならば「なぜ現在システムとISOを別もの」とするのか,これらを統合すべきです.統合して最終の経営課題である「売上・利益管理」までもISOに乗せる,これがIMGが一貫追求している「枠組み」でありまたスタンスです.

 上記で「現状のままで80%は適合」と言いましたが,残りの20%は,(1)会社課題を改善する部門横通しのキープロセス明確化にする事と(2)既存のPDCAの細い所の修正が主に「補強」を要する点です.

2.業務改革実戦ツールの提供:通常の「文書雛形」に加えて

 ISO9001導入・活用支援のためにIMGが用意しているものは

(1)文書雛形・テンプレート:
品質マニュアルとプロセス図,計画表,報告書様式等

(2)
経営改善のためのコンサルテーション:
顧客信頼確保,もの作りのQCT向上等

が「ツールとしての両輪」です.

 IMGの「新たな手法」はこの二つのツールを「更に深耕」している点です.まず会社の経営課題を,

(1)勝ち残りのための経営戦略設定(海図と羅針盤)
(2)顧客信頼を確保して売上を伸ばす(営業革新)
(3)もの作りのQCTに一層の磨きをかける(生産革新)
(4)プロジェクトを通して人材を育成(人材革新)
(5)経営改善を支える内部監査およびマネジメントレビュー(経営チェックシステム)
の枠組みで整理し,それらの経営課題達成上の要点(バランスドスコアカードBSCの成功要因CSFとキー評価指標KPIに相当する)を,それらに対応するISO9001規格項目を踏まえつつ具体的なプロセス事例に落とし込んでいることです.

 ISO認証取得のためだけの文書でなく,経営課題の改善手法をISOに沿った「具体的な実戦文書」として用意している点がIMG手法の「もう一つの特徴」です.

 第二回以降で,上記の(1)(5)項についてIMGの手法をご紹介します.以上


第二回:ISO9001を経営に役立てる:IMGからの提案

−「経営者の責任」を果たすには経営戦略からの展開を−

ISO経営革新グループ(IMG)
代表:中小企業診断士/審査員補 田中 義二
mgein@sindan-k.com
http://www.sindan-k.com/mgein/

1.はじめに
第1回に馬場が80%はISOが実践されていると述べました。ISOは真の目的は会社をよくすることであり、従って経営者として毎日実践しているからです。しかし、運用しているISOの“しくみ”は経営のありの侭の姿で無く、上乗せの形で、新たにISOが入り込んだ姿になっていないでしょうか。ここに経営にとって一部無駄、矛盾が発生していると感じています。経営上、品質保証はお客様に満足いただく重要な要件ではありますが、94年版では、“もの”の品質保証が焦点となっていたため、ISOによって、会社をよくすることが一部の認証企業で、後回しになってしまっていると感じています。今回は独断と偏見をお許しいただき、経営の基になる経営戦略にポイントを置いて意見を述べます。要求事項の5.経営者の責任、6.資源の運用管理の節に関連します。

2.問題提起
「認証取得後の問題」と題するアンケートがあります。品質文書や記録の増加のわずらわしさを筆頭に、生産性(業務効率)の改善不足、製品開発・技術改善不足、経営へのメリット不足などあげられています。その結果、ISO体勢の形骸化、日常の仕事との遊離も指摘されています。94年版の“もの”の品質保証から、2000年版により改善はされていると推察しますが、経営に役立つISOになっているでしょうか。最大の要因は、5,6項の中身と考えています。

3.対応
経営者の責任は、言うまでもなく利益を継続して創出することです。ISOは利益を出すために、顧客満足を高めることにあります。顧客満足を得た程度は、利益の多寡に現れる、と考えるからです。品質目標を広く解釈すれば、主要顧客に対し、何を満足してもらえれば、利益につながるか。競合企業との関係で何を強化すればよいか、更に何を強化すればよいか、外部環境は近い将来どのように変わるか。この観点から検討すれば、現状の日本企業は、“もの”の品質保証は当然のこととして、短納期、低価格、新製品、新サービスの実現などを目標値にした方が日常の経営活動にマッチすることでしょう。

 さて、これらは今回のテーマである経営戦略から展開する必要があります。企業は、各社員の行動、向かう方向、意識などを一致させ効率的な経営が求められます。社是、社訓、経営理念などを飾り物とせず、全社の価値観を一致させ、全社員の行動のよりどころとするものを分かりやすく再検討されてはいかがですか。品質方針に反映してみて下さい。次に誰を、どの業界を主要顧客にするか特定することが大切です。来るお客がすべて顧客でなく、能動的に当社から顧客を特定し、当社の経営のターゲットにあった顧客向け目標を設定する必要があります。人、設備など固定資産は、一時的特別な理由で受注が増えたから対応するのでなく、3年程度の中期的計画から、経営資源の投資を計画して下さい。経営戦略や方針に照らし合わせ、経営者の中期的判断で実行できます。

4.結び
ISOは顧客満足を得て、自社の利益を出すためのツールです。ツールを持つ時期から有効に活用する時期に移りました。機能していないツール、や、悪いところを見つけて改善する必要があります。IMGは、社団法人中小企業診断協会神奈川県支部所属の中小企業診断士7名がISOを経営に活かすことを研究し、実践してきました。これからISOを取得する企業、経営に対して機能していない企業に対しご支援できます。記事担当者あるいは代表に問い合わせ下さい。

 次回は「顧客信頼を確保して売上げを伸ばす(営業革新)」を松崎が担当します。

 

第三回:ISO9001を経営に役立てる:IMGからの提案

−顧客信頼を確保して売上を伸ばす「営業革新」−

ISO経営革新グループ(IMG)
中小企業診断士 松崎 一成
matsuzakikazunari@yahoo.co.jp
 

 ものつくりのQCTに優れているだけでは、顧客を獲得できません。顧客の不満 を取り除き、期待に応え、顧客の信頼を確保することが売上を伸ばす第一条件であ ると考えます。そのような視点から今回は、「顧客信頼を確保して売上を伸ばす (営業革新)」のテーマの「顧客信頼確保の戦略策定」を中心に、IMGの手法を ご紹介します。

  まず、経営者からみて、顧客の信頼を損なうような場面の洗い出しを行います。 例えば、「顧客があなたの会社を見限る瞬間」について心当たりがあるか自己評価 します。
・売込み時:当社のニーズがわかっていない、顧客が「時間のムダ」だったと思う時
・問合せ対応:言った事にしか答えず、一度で答えになってない、「お粗末」と思う時
・品質クレーム:原因説明が状況と経過説明だけ、これでは「再発する」と思う時
・納期:納期が長い、しばしば遅れる、これでは「仕事にならぬ」と思う時
 これらは、ISO9001の要求事項として、7.2顧客関連のプロセス、8.2監視 及び測定、8.5改善、等に関連し、貴社の業務マニュアルには、規定化され、文書化 されていると思います。ただ、PDCAがそのとおりに回っているかどうかです。

 では、戦略策定を手順を追って説明します。
1.信頼関係を強化すべき対象顧客を明確にします。
2.「顧客の満足度」と「顧客の期待度」についての自社の評価をします。
  満足度と期待度の関係を、次の4つに分類し、自社の当てはまる位置を把握します。
 ア.期待度も高く満足度も高い:提供する商品・サービスは顧客満足を得ており、さらなる
   期待をされている。理想の姿。
 イ.満足度は高いが期待度が低い:例えば、水や電気のように供給力が十分ある商品・サ
   ービスは、コストと安全に問題なければ満足度は高いが、その他の期待は低い。
 ウ.満足度も期待度も低い:法的な保護、参入障壁により成り立っている事業など。
 エ.期待度は高いが満足度は低い:技術力はあるが提供側の自己満足型。顧客の期待(ニ
   ーズ)に応じた商品・サービスの創造、提供が必要。
   「満足度」は、購入した製品、受けたサービスの顧客の期待に対する充足度で、「期待
   度」は、製品、サービス或いはその提供者に対する顧客の期待の高さのことです。期待
   が高ければ高い程、満足度は相対的に低くなり、また、期待が低ければ容易に満足が得
   られます。一度満足を得られると、「ぜひあの商品が欲しい」「取り引きをしたい」「あの会
   社なら良いものを作っているはず」「こちらの要望も聞いてくれるはず」のように、満足と
   期待が好循環となったときに顧客と企業の信頼関係が成立します。よって、顧客の満足
   度と期待度は信頼獲得の両輪なのです。
3.営業戦略の設定:会社の「生存領域」と現在位置を踏まえ、「顧客満足を高める維持の営
  業」と「顧客の期待に応える提案営業」のどちらに重心を置くかを設定します。
4.基本課題の明確化:誰に、何を、どのように提供するかを明確にし、ものとサービスの満足
  度が顧客の期待度を上回るようにするためには、「どの課題」を解決するかを明らかにしま
  す。

 次に、営業戦略・基本課題を「重点課題」に具体的に展開し、目標、プロセス、担当者を明確
にして実行計画に落とし込みます。(プロジェクト計画)
そして、実行計画を推進する中で、自律的に回る仕組みの強化と実際にそれを回していくコア
人材の育成をはかり、真の企業体質の強化に結び付けていくのです。

 次回は、「ものつくりのQCTに一層の磨きをかける(生産革新)」について、ご紹介をします。

 

第四回:ISO9001を経営に役立てる「新たな手法」:IMGからの提案

−「ものづくり」のQCTに一層の磨きをかける(生産革新)−  

ISO経営コンサルグループ(IMG) 
              
中小企業診断士 八鍬 和夫
                   VET00714@nifty.ne.jp

1.「ものづくり」のQCTは製造業の命綱
 製造業における「ものづくり」は会社を支える基盤であり、その重要性は今さら言うまでもありません。しかし、今日の厳しい経営環境や中国の製造拠点としての急成長、生き残りのための選択と集中など、多様な経営活動が交錯する現在の大競争時代においては、経営戦略・生存領域にもとづいて厳しく絞り込んだ分野でのQCT(品質、コスト、タイミング)をさらに一層磨くことが重要になってきます。
 「ものづくり」の「もの」は、どういう製品・商品を作るのかであり、「つくり」 は、それをどのように調達・製造するかである。Qは精度や性能だけでなく、サー ビスまで含めた質(quality)であり、Cはコストであるが、コストダウンだけで なく、いかに付加価値を加えて高く売るかも含んでいる。Tはタイミングであり、 スピードとタイムリ性である。
 今回は、IMGの提供する「ものづくり」のQCTに一層の磨きをかけて生産革新を実現する手法をご紹介します。

2.一歩抜きんでたQCTを究める
 まず、社長や経営幹部の問題意識を確かめた上で、課題を特定し、改善・革新の戦略・方策を具体化し、プロジェクトを組織して計画を推進します。 IMGの着眼点のいくつかを例示すると、次のようになります。
 (1)厳しい時代を生き抜く命綱・コア技術を究める(Q)
 (2)ばらつきの少ない生産で信頼性を高める(きめ細かさの追求)(Q)
 (3)小集団活動、問題対策会議などで情報・経験の共有(T)
 (4)短いリードタイムとタイムリな顧客への業務サービス(T)
 (5)ITの活用(生産管理システムの導入ができてはじめて効果発揮)(C)
 (6)アイデア発想法(VA、VE)で、2桁コストダウン(C)など
 これらの項目は、業種・業態との適合性がよければ、関連するQCTを磨く価値がある項目です。どの分野のQCTを磨くかを次の手順で絞り込んで、競合他社よ り一歩抜きんでることを目指していきます。

3.ものづくりの方針・生存領域を決定する
 第2回に説明がありましたように、会社の経営方針・目的にそって、「会社の生存領域(どこで生きるか)」を定め、それを強化する「QCT課題」を設定します。
 生存領域は、技術軸(製造技術←→商品開発)とサービス軸(レベル←→スピー ド)でマトリクス化すると、それぞれの組合せで次の4つの生き方に類型されます。
 (1)先行者利益追求型(商品開発×スピード)
 (2)先進企業試作支援型(製造技術×スピード)
 (3)オンリーワン商品企業型(商品開発×レベル)
 (4)大企業囲い込み型(製造技術×レベル)
 このとき、製品のライフサイクル上の位置、投資回収の可否、競合の状況などを合わせて検討し、生存領域を決めます。

4.どの分野のQCTを磨くか?
 
次に、設定した生存領域で抜きんでるための重点課題、強化すべきポイントはどの分野のどこにあるかを探します。「ものづくり」には大きく、
  ・製品・商品開発(もの)
  ・製造(つくり)
  ・顧客リレーション(顧客満足)
  ・取引先リレーション(管理)
  ・その他、物流など
の分野が関連しますが、どの分野の、QCTのどれを強化すべきか探し出すわけです。明らかになった強化課題の中から優先度の高い課題を選んで、集中すべき課題を決定します。
 つづいて、その実現のため、人、作業方法、設備など関連する経営資源や要素のどれを、どのように強化するかを具体的に決定していきます。
 このように、「経営戦略」から出発して、「生き残り方」を集中課題とそれを実現する経営資源のあり方に結びつけた具体的な実行計画にまで落とし込みます。

 5.プロジェクトを組織して革新を推進
 
IMGの提案の大きな特徴の一つは、プロジェクトによる実践的なQCTのレベルアップにあります。生き残りの「QCT課題改善」を現場の現実、現象を踏まえ、 現場のキーマンを巻きこんだプロジェクトを組織して、実践的に進めます。
 同時に、この活動を一過性の改善活動として終わらせないように、人材育成と自律的なPDCAが根付いた業務遂行プロセスの構築にも留意した展開を図ります。

 プロジェクト活動を展開するに当たっては、QCT面では、品質、コスト、タイミング・スピードのそれぞれに対して、また、ものづくりに関連する市場・顧客、 製品開発、製造の各段階に対して、適切なツールや研修等を提供し、実務面から本活動の円滑な展開を補強・支援します。

  IMGの提案する本活動の到達目標は自律的・継続的にQCT改善を行う人材を育成し、そのプロセスを構築することにあります。そして、激動する経営環境にフットワークよく対応できるよう経営体質の強化をご支援しようとするものです。

  次回は、「プロジェクト活動を通しておこなう人材育成(人材革新)」について、 ご紹介します。

 


第五回:ISO9001を経営に役立てる:IMGからの提案

−プロジェクト活動を通して行う「人材育成」(人材革新)−

ISO経営革新グループ(IMG)
須貝 良治
ryo.sugai@opt.gate01.com

1.人材育成の重要性
 いつの時代にあっても人材育成は、企業にとって最重要課題のひとつです。企業の経営を考えていくときに、無限の可能性を有する人材をいかに活用していくかがその成果を決すると言っても過言ではありません。生き残りをかける各社の戦略はすでに似かよってきており、競争力の決め手は最終的には、人材次第という様相を呈してきています。
 IMGは、前々回、前回にも述べた現場のキーマンを巻き込んだプロジェクトを組織 して人材育成と自立的なPDCAが根付いた業務遂行プロセスの構築を通して、競争力の決め手となる「人材の育成」に取り組みます。
 ISO9001の規格では「6.2人的資源」に関連しますが、一般的には規格の要求事項を狭義に捉え直接製品の製造等に携わる人材の力量等について規定化され、文書化されていると思います。IMGでは規格の要求事項を満足させるのはもとより会社の経営活動を担う全員を「人材育成」の対象として捉えます。

2.IMGの人材育成の特徴
 IMGの人材育成は、会社の「課題摘出・解決」のプロジェクトの過程を通して、会社課題に即して対象メンバーの意識改革、実務力アップを図ることを目指します。そのためにプロジェクトの進捗に沿って「意識改革面」と「実務のスキルアップ面」の両面から人材育成を行います。具体的には以下のとおりです。
(1)計画段階で課題意識、絞込み、改善計画の立案方法、
 時間の作り方、プロジェクト推進技法、社員調査表、業務プロセス分析表、顧客重視、全活動をお金およびQCTで評価する、問題絞込みの基本的考え方、原因特定意識、 ムダ直感意識等
(2)実行・管理段階ではプロジェクトの推進、分析、コントロール技法の習得、リーダシップの発揮方法、キープロセス構築法、アイデアの抽出法、現場向け分析ツ―ル、財務会計の基本、5Sの導入、見える化運動等

3.IMGの人材育成の進め方 
 経営トップの経営理念と人材に対する考え方に基づき、綿密な打ち合わせを行って、 次の手順で人材育成の計画を作成して実行します。この計画は、課題別の「プロジェクト計画書」に組み込みます。
(1)必要人材の明確化
 経営トップの意向に基づき、対象人材をプロジェクトメンバに加え、計画、実行・管理段階で、誰に、どのような「意識アップと実務スキル」が必要か、その目的、到達目標を明確にします。
(2)プロジェクト計画書の設定
 会社の重点課題改善の「プロジェクト計画書」に、人材育成の課題、必要な研修・ツール、支援の方法・日程などを、人材育成目的に沿ってカスタマイズします。
(3) プロジェクトを通してのOJT
 プロジェクト計画立案から実行、諸管理のプロセスを通して、会社課題への認識を深め、同時にその課題摘出と解決法を訓練します。
 計画段階では、課題の摘出→集約→重点項目の決定→目標の設定、実行計画の策定などを行い、実行・管理段階では、現場向けのツールを使った分析やその解決のためのアイデイア摘出、制約された時間のなかでのプロジェクトの推進、時間の作り方、グループ内外とのコミュニケーションなどのトレイーニングを行います。
(4)計画的・体得型の進め方
 ツールの紹介や研修実施は、予めプロジェクト計画書で計画したものであり、インプットに続いて、演習、実課題に適用する手順で、計画的・体得型の実践的な進め方をする。

4.ゴール・到達目標
 短期間で会社の将来を支える人材を育てるという点での人材育成の到達レベルは「言われた事は出来る」から、「与えられた課題に対して解決の道筋がつけられる」レベルへ、更に「自ら問題を発見し解決できる」へ、グループリーダーとして「グループの問題を発見し解決できる」へと会社の将来を支えるために強化すべき「意識面・実務面」の課題を計画的にレベルアップすることが主目標となります。        

 次回は、「内部(品質)監査を経営に役立てる」について、ご紹介します。                                   

 

第六回:ISO9001を経営に役立てる:IMGからの提案

−内部(品質)監査を経営に役立てる−

ISO経営革新グループ(IMG)
中小企業診断士 松岡 英輔
emgmsys@kamakuranet.ne.jp

 このメルマガも最終回(第六回)となりました。第六回では、経営に「役立てる内部(品質)監査」を取り上げました。
 貴社では、内部監査が旨く機能していますか。即ち、社長から今回の内部監査の結果に、期待を込めて注目して頂いていますか。
 顧客の満足と信頼を得て、売上を伸ばすためには、「物づくり」のQCTに優れており、且つ、変化に対応でき、足腰が強い磐石の「経営のしくみ」が必要で、これは多岐に亘ります。
 貴社が既に審査登録を得ている「品質マネジメントシステム」を維持する目的は、此処にあることを、先ず、明確にしましょう。これから登録を目指している貴社の取り組みも、この目的をはっきりさせましょう。
 さて、「品質マネジメントシステム」を維持する目的に照らして、「役立てる内部(品質)監査」を行うために貴社が考えるべき要点を中心に、IMGの手法をご紹介します。先ず、要点を箇条書きで列挙しましょう。
 1.品質マネジメントシステムを構築し、維持する目的をはっきりさせること。
 2.内部監査の目的をはっきりさせること。
   これには、中期的な目的と今回の監査に対する目的とがある。
 3.内部監査の目的に沿った監査の実施方法を検討する。
    これにも、中期的と今回の監査に対するものとがある。
 4.内部監査員の力量を高めること。
 5.内部監査の結果の活用方法を考えること。

 それでは、上記の要点を項目毎に考えてゆきましょう。

1.品質マネジメントシステムの目的:
 登録証を維持するため、と言う“キリ”の目的から、足腰が強い磐石の「経営しくみ」として、しくみを継続的に改善するため、と言う“ピン”の目的まで、業界には幅広く存在します。貴社が目指す目的が何であるかを「はっきり」させ、目的に照らして到達している現状の程度(水準)を見極めましょう。  
 このようにすることによって、内部監査の目的が見えてくるでしょう。この分析を行う責任は、社長、管理責任者にあるものと思います。

2.内部監査の目的:
 前項で目的を「はっきり」させ、現状の程度(水準)を見極めた結果から、自ずから、内部監査の目的が見えてきます。目的が見えると、中期的な目的は、 「ありたい水準」に到達する為の計画(戦略)を設定することになります。
 そして、今回、当面している監査は、計画(戦略)の中での一点ですから、この一里塚を計画通りに通過しなければなりません。今回の監査を成功に導くためには、周到に準備し、監査のプログラムを策定することになります。計画(戦略)を設定する責任は、管理責任者、社長にありましょう。監査プログラムの策定は、管理責任者、事務局の方の担当でしょう。
 ここまで考えてくると、内部監査の目的は、貴社が運用している品質マネジメントシステムが、ISO9001と貴社の品質マニュアルに適合しているか? と言った適合性だけでなく、しくみの目的に照らすと、次の例示のような監査目的も浮かび上がってくるでしょう。以下は、あくまでも例示であり、会社が持っている課題により異なります。
 A:当社のシステムは、品質目標の達成を管理する上で有効か
  (役立つか? 問題が無いか?)
 B:新製品(新機種)を短期に立ち上げるために、当社のシステムは有効か。
 C:慢性的な工程不良(或いはクレーム)をなくすために、当社のシステムは
   有効か。
 D:人材育成を計画通りに進める上で、当社のシステムは有効か。

3.監査の方法を検討する:
 2.で明確にした、「ありたい水準」に到達するための中期的な方法を考えることであり、ISO9001や品質マニュアルの他に、何を内部監査の基準とするか(例えば、社長通達XX号)、監査の頻度(例えば製造課は、6ヶ月間隔、営業課は、12ヶ月間隔、総務課は、18ヶ月間隔)を担当するプロセスの重要性と過去の監査結果に従って定める、監査結果の報告の仕方(不適合のほかに、観察事項を加える、など)。チェックリストの作り方、など、貴社の品質マネジメントシステムの目的への接近を目指して、システムを継続的に改善する課題を発見できる内部監査の手順を検討することにあります。また、次の4.項で取り上げる内部監査員の力量を確保することが大切です。これらのことを検討する責任は、管理責任者、事務局の方にありましょう。
 当面する内部監査に対しては、2.項で述べた内部監査の計画で目標とした一里塚 を通過できるように、詳細な実施日時、所要時間、派遣する内部監査員、重点監査 事項(監査チェックリスト)等をプログラムすることになります。これらの準備担当 は、管理責任者、各内部監査チームの担当でしょう。

4.内部監査員の力量を高める:
 監査員に必要な力量は、内部監査に関する講習会を受講しただけで、身に付くものとは考えられません。講習会の受講も必要ですが、2.項で述べた内部監査の目的を果たす実行部隊としての内部監査員には、貴社の経営理念を理解し、業務に精通しており、周囲から信頼されている人を内部監査員に起用し、継続的に力量の向上を図る必要があるでしょう。内部監査員に必要な力量の内容と水準の判断、及び力量の向上策の実行は、社長、管理責任者の任務です。

5.内部監査の結果の活用
 社長・管理責任者は、熱い思いを持って内部監査の結果に期待を寄せて頂きたいものです。期待に応える結果となるよう、厳しい要望を出して頂きたいものです。内部監査の結果の報告会は、社長の面前で行って見ては如何でしょうか。本来、内部監査 は、社長・管理責任者の依頼(指示)によって行われるものです。今回の内部監査の 結果が、不満な内容であったなら、なぜ、不満な結果になったのか、反省してみるこ とが必要で、こうすることにより、内部監査の実施に対しても継続的改善が図れるこ とになります。

 以上、内部監査について、IMGの手法の概要をご紹介しました。ISO9001を運用する上で、内部監査の実施は重要であることをご理解頂けたものと思います。現状では、内部監査の実施は、審査を受けるための必要条件のような位置付けになっていませんか。もしそうなら、内部監査は益々、形骸化の道をたどるでしょう。負のスパイラルです。貴社の経営に役立つ内部監査であることを願って止みません。

 本稿と六回に亘る長らくのご精読を有難うございました。読後感、或いは、貴社の課題が見えてきた際には、ご遠慮なく、IMGまでご連絡を下さい。